外壁・屋根の塗装の見積書の読み方|比べる前にそろえる項目と、聞き返す一言

公開日 / 資料の確認日

外壁や屋根の塗装の見積もりを何社かから取ると、総額がばらばらで、どれが良いのか分からなくなりがちです。 でも、見積書に書いてある「中身」は、会社ごとに違います。塗料も、塗る回数も、どこまで塗るかも違えば、総額が違うのは当たり前です。

この記事では、見積書で確かめる項目と、書いていなかったときに業者へ聞き返す一言をまとめました。 住まいるダイヤル(公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター)、塗料メーカーのカタログ、業界団体の資料、法律に書いてあることをもとにしています。 金額の相場は載せていません。家ごとに条件が違い、確かな資料で確かめられないためです。

机の上に表の形の見積書が3枚並び、同じ行どうしに印を付けて見比べている様子

結論:総額を比べるのは、中身をそろえてから

比べる前に、見積書の中身をそろえる

住まいるダイヤルは、相見積もりは2〜3社がよいとし、「工事箇所や工事項目をそろえて、比較表を作ることが有効です」と案内しています。 「総額では最も高いと思った事業者が、条件をそろえてみると実は最も安価であったと気づくこともあります」とも書いています(住まいるダイヤル「ポイント1 複数の見積書を取って比較しましょう」)。

見積もりを頼む2〜3社を近くで探すときは、市区町村ごとの一覧が使えます。京都市なら京都市(全区)の屋根・外壁塗装業者一覧から区を選べます。

見積書を比べる手順
  1. 見積書を横に並べる

    同じ家・同じ希望で頼んだ2〜3社分。総額はいったん手で隠す

  2. 行をそろえる

    下の「確かめる項目」を行にして、各社の書き方を1行ずつ写す

  3. 空いたマスに印

    書いていない・「一式」だけ・言葉があいまい、のマスに印を付ける

  4. 聞き返して埋める

    印のマスは、表の「聞き返す一言」で聞く。答えは書面かメールでもらう

  5. 中身がそろってから総額

    同じ中身どうしになってから、はじめて金額を比べる

比較表は、紙に次のような表を書くだけで作れます(記入例ではなく、空のひな形です)。空いたマスに、各社の見積書の書き方をそのまま写します。

比較表のひな形(空欄)
項目 A社B社C社
足場
高圧洗浄
下地処理(ひび割れ補修・ケレン)
養生
塗る面積(㎡)
塗料
塗る回数
付帯部
シーリング(コーキング)
処分費・諸経費
保証
有効期限・工期・支払い
総額(最後に記入)

表は横にスクロールできます。

見積書で確かめる項目と、聞き返す一言

見積書に次のことが書いてあるかを見ます。書いていなければ、「聞き返す一言」で聞いてください。 住まいるダイヤルは、「一式」と書かれていたら内容を確かめ、できる限り数量と単価を示してもらうこと、 全部の項目が同じ数字(たとえば同じ面積)になっていないかを見ることを案内しています(住まいるダイヤル「ポイント3 工事箇所、数量、仕様や単価を確認しましょう」)。

見積書で確かめる項目(項目・書いてあるべきこと・書いてなければ聞き返す一言)
項目 書いてあるべきこと 書いてなければ聞き返す一言
足場 家のまわりに組む、作業用の足場 足場を組むこと、その面積(㎡)。塗料が飛ばないように張るネットも含むか 「足場代は総額に入っていますか。何㎡で出していますか」
高圧洗浄 強い水で、壁の汚れや古い塗膜の粉を落とす作業 洗う範囲(外壁だけか、屋根や付帯部も洗うか) 「どこまで洗いますか。洗ってから塗り始めるまで、何日あけますか」
下地処理(ひび割れ補修・ケレン) 塗る前の下ごしらえ。ケレン=鉄部のさびや古い塗膜を削り落とすこと どこに何をするか(ひび割れの直し方、さび落としをする場所) 「ひび割れはどう直しますか。工事中に見積もりに無い傷みが見つかったら、どう決めますか」
養生 窓・床・植木・車など、塗らない物をシートで覆うこと 養生をすること(窓を覆う期間の目安があれば、なおよい) 「何を覆いますか。窓を開けられない日は何日くらいですか」
塗る面積(㎡) 外壁の塗る部分の広さ。塗料の量と金額のもとになる数字 外壁・屋根・付帯部それぞれの数量と単位。どうやって出したか 「面積は図面から出しましたか、測りましたか。窓など塗らない所は引いていますか」
塗料 「シリコン」「フッ素」などは種類の名前。製品を決めるのは商品名 メーカー名・商品名・色・つや。下塗り・中塗り・上塗りそれぞれの塗料名 「メーカー名と商品名を書いてください。カタログ(仕様書)を見せてもらえますか」
塗る回数 下塗り(接着のための1回目)→中塗り→上塗り、の回数 面ごとの塗る回数と、それがメーカーの決めた塗り方(仕様)どおりか 「何回塗りますか。塗る量と、塗り重ねるまでの時間はカタログどおりですか」
付帯部 外壁以外の細かい所。雨どい・破風(屋根の端の板)・軒天(軒の裏)・水切り・雨戸など 塗る所と塗らない所の一覧。それぞれの塗料名と回数 「塗る所と塗らない所を、一覧か写真で教えてください」
シーリング(コーキング) 外壁の板のつなぎ目や窓まわりを埋める、ゴムのような材料 場所ごとに「打ち替え」か「増し打ち」か、長さ(m)、材料の商品名 「つなぎ目は打ち替えですか、増し打ちですか。窓まわりはどうしますか」
処分費・諸経費 出たごみの処分、運搬、現場の管理などの費用 何が含まれているか。「一式」だけなら中身 「諸経費には何が入っていますか。別に請求されるものはありますか」
「一式」と書かれた行 数量を書かずにまとめた書き方 できる限り数量と単価(住まいるダイヤルもこう案内しています) 「この一式の中身を、数量と単価で分けてもらえますか」
保証 工事のあとに不具合が出たときの約束 誰が出すか、どこ(部位)の、どんな不具合が対象か、年数、書面(保証書)をいつ渡すか 「保証書のひな形を、契約の前に見せてもらえますか」
有効期限・工期・支払い 見積もりがいつまで有効か、いつ工事するか、いつ払うか 見積日・有効期間・工事予定期間・請負人(業者名)。支払いの時期と方法 「この見積もりはいつまで有効ですか。支払いは、いつ・何回に分けてですか」

付帯部の雨どいが割れている・外れているなど、塗装とは別に直したいところがあるときは、雨どいに対応する業者一覧で修理・交換を案内している業者を探せます。

足場について:高さ2メートル以上の場所で作業するときは、足場を組むなどして作業する床を設けることが、労働安全衛生規則で業者側に義務づけられています(労働安全衛生規則 第518条(e-Gov法令検索))。 足場が「無料」「サービス」と書かれていたら、その分がどこに入っているのかも聞いてみてください。

工事中に、見積もりに無い傷みが見つかることもあります。住まいるダイヤルは、追加の工事と費用をどう扱うかを事前に話し合い、書面にしておくよう案内しています(住まいるダイヤル「ポイント6 安心な契約のために~さらに確認!」)。

塗る回数・量・乾燥時間は、塗料のカタログで決まっている

「3回塗り」と書いてあっても、それだけでは足りているか分かりません。塗料メーカーは、製品ごとに塗る回数、1㎡あたりに塗る量、次を塗るまでにあける時間をカタログや仕様書で決めています。 たとえば、公開されている資料には次のように書かれています。

エスケー化研「エスケープレミアムシリコン」

窯業系サイディングの外壁を塗り替えるときの仕様(気温23℃のとき)

  • 塗る前に、高圧の水(5〜15MPa)で古い塗膜の汚れを落とす
  • 下塗り:指定の下塗り材(水性SDサーフエポプレミアム)を1回(1㎡あたり0.18〜0.40kg)。次を塗るまで3時間以上あける
  • 上塗り:2回(2回で1㎡あたり0.22〜0.35kg)。1回目と2回目の間は2時間以上あける

カタログには「規定所要量を厳守してください」とあり、下地の種類によって塗る量や回数が変わるとも書かれています。

出典:エスケー化研「エスケープレミアムシリコン」カタログ(PDF)(確認日 2026年9月22日)

日本ペイント「パーフェクトトップSi」

製品ページの標準の数値

  • 1回に塗る量:1㎡あたり0.11〜0.17kg
  • 次を塗るまで:23℃で3時間以上、5〜10℃では8時間以上あける

「乾燥時間は目安です」とあり、塗る量や風通し・湿度で変わると書かれています。

出典:日本ペイント「パーフェクトトップSi」製品ページ(確認日 2026年9月22日)

ここに挙げたのは説明のための例で、この塗料をすすめるものではありません。塗料ごと、壁の材料ごとに決まりは違います。 見積書に商品名があれば、「この塗料のカタログのどの塗り方(仕様)で塗りますか」と聞けます。商品名が無いと、この確認ができません。

シーリングは「打ち替え」か「増し打ち」か

サイディング(板を張った外壁)では、板と板のつなぎ目や窓まわりをシーリングで埋めています。外壁塗装の見積書に、このシーリングの工事が一緒に入っていることがあります。

打ち替え
古いシーリングを取り除いてから、新しく詰め直すこと
増し打ち
古いシーリングの上に、新しいシーリングをかぶせること

日本シーリング材工業会のガイドは、「「増し打ち」では打ち替えによって期待されるシーリング材の性能を発揮させることが出来ない」とし、薄くかぶせるだけになるため、固まりきらない・はがれる・上に塗った塗料が汚れる(にじみ出る)・ふくれるといった不具合の原因になると説明しています。 窓まわりのつなぎ目は、窓枠を傷つけないように取り除くのに慎重な作業が要る、とガイドは書いています。上から塗装する場合は、塗料を汚しにくいタイプのシーリング材を選ぶことが大切、とも書いています(日本シーリング材工業会「住宅外壁改修のためのシーリング材ガイド ~当事者が知っておくべき基本的なポイント~」(PDF))。

見積書では、場所ごと(板のつなぎ目・窓まわり)に、打ち替えか増し打ちか、長さ(m)と材料の商品名が書いてあるかを見てください。「シーリング 一式」だけなら、分けて書いてもらいます。

保証は年数より「誰が出すか・何が対象か・書面か」

「保証10年」と「保証5年」を比べても、中身が違えば比べたことになりません。保証は次の4つで見ます。

誰が出すか
業者の名前で出すのか、団体や保険の仕組みを使うのか。業者がやめてしまったときにどうなるかが変わります
何が対象か
外壁・屋根・付帯部・シーリングのどこが入るか。はがれ・ふくれ・色あせなど、どんな不具合が対象か
何が対象外か
台風などの災害、建物の動きによるひび割れ、お手入れ不足などが外れていないか
書面か
保証書をいつ・誰の名前で渡すか。契約書にも保証の定めを書くか

保証には、出す人が違ういくつかの形があります。

業者の保証(工事の保証)

出す人
工事をした業者
中身
中身・年数は業者ごとに違います

保証書のひな形で、対象と対象外を確かめます。業者が廃業・倒産したときの扱いも聞いておきます。

日本塗装工業会の「ペインテナンス」

出す人
日本塗装工業会の会員の業者が工事し、工業会が検査
中身
条件を満たした工事に、最長5年の「塗膜性能保証書」

期間などの条件があります。使えるかどうかは、工業会のページか会員の業者に確かめてください。

日本塗装工業会「ペインテナンス」(確認日 2026年9月22日)

リフォームかし保険

出す人
業者が保険に入る(お客さんは入らない)。建築士の資格を持つ検査員が現場を検査
中身
塗装では「著しい白亜化、剥がれや亀裂」が保険金の対象。期間は部分によって工事完了から5年か1年

業者が倒産などで直せないときは、お客さんが保険法人に直接請求できます。保険法人に登録している業者しか使えません。

住宅瑕疵担保責任保険協会「リフォームかし保険」(確認日 2026年9月22日)

「メーカーの保証」と言われたとき

出す人
塗料メーカーか、取り扱う業者か。現場での説明はさまざまです
中身
保証書を出すのが塗料メーカーか、業者か

「メーカー保証」と言われたら、保証書の名義と対象(塗料そのものか、工事か)を書面で確かめてください。(当サイトでは、一般向けの公式ページで条件を確認できませんでした)

どの形でも、契約の前に保証書のひな形を見せてもらうのが確実です。口で「10年保証です」と言われただけでは、何が対象なのか分かりません。

契約の前に:有効期限・支払い・書面

見積書には、見積日・有効期間・工事予定期間・請負人(業者名)が書いてあるかも見ます(住まいるダイヤル「ポイント3」)。 「今日契約すれば値引きします」と急がされたら、その場で決めないでください。訪問してきた業者の場合の見分け方と取り消し方は、屋根・外壁の訪問販売の記事にまとめています。

建設業の許可を持つ業者は、材料費・労務費などの内訳と、工程ごとの作業に必要な日数を書いた見積書を作るよう努め、頼まれたら契約までに渡さなければならない(建設業法20条)。

工事の請負契約では、これらを書面に書いて、お互いに渡すことになっています(建設業法19条。ここに挙げたのは一部です)。

契約すると、見積書の金額は簡単には変えられない、と住まいるダイヤルは注意しています。分からない所が残ったまま契約しないようにしましょう(出典:建設業法 第19条・第20条(e-Gov法令検索) 、住まいるダイヤル「ポイント7 見積書の金額は、契約後には変えられない!」 )。

契約前の見積書は、住まいるダイヤルで見てもらえる

自分で比べても分からないときは、住まいるダイヤルの「見積チェックサービス」が使えます。国土交通大臣が指定した住宅専門の相談窓口です。

電話
03-3556-5147
受付
午前10時〜午後5時(土、日、祝休日、年末年始を除く)

住まいるダイヤル「リフォームの見積書に関する相談」(確認日 2026年9月22日)

よくある質問

外壁や屋根の塗装の見積もりは、何社から取ればいいですか?

住まいるダイヤルは、相見積もりは2〜3社がよいとしています。それより多いと比べるのが大変になり、かえって選びにくくなることがあるためです。同じ条件で頼み、工事の場所と項目をそろえた比較表を作ると違いが分かりやすくなります。

見積書の「一式」は、そのままでいいですか?

住まいるダイヤルは、「一式」と書かれていたら内容を確かめ、できる限り数量と単価を示してもらうよう案内しています。「この一式の中身を、数量と単価で分けてもらえますか」と聞いてください。

「3回塗り」と書いてあれば安心ですか?

回数だけでは分かりません。塗料メーカーのカタログには、製品ごとに塗る回数・1㎡あたりの量・次を塗るまでの時間が決めてあります。商品名を書いてもらい、その塗り方(仕様)どおりかを聞いてください。

シーリングの「増し打ち」はだめなのですか?

日本シーリング材工業会のガイドは、古いシーリングの上にかぶせる「増し打ち」では、打ち替えで期待される性能が出せないとしています。窓まわりなど取り除きにくい場所の扱いは家によって違うので、場所ごとにどうするかを見積書に書いてもらってください。

保証は何年あれば安心ですか?

年数だけでは比べられません。誰が保証書を出すか、外壁・付帯部・シーリングのどこが対象か、どんな不具合が対象外か、書面でもらえるかを確かめてください。業者がやめてしまったときに備える仕組みとして、リフォームかし保険もあります(業者が入る保険です)。

契約の前に、見積書をだれかに見てもらえますか?

住まいるダイヤル(公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター)の見積チェックサービスで、着工前・契約前の見積書を建築士の相談員に電話で見てもらえます。無料です。電話は03-3556-5147(午前10時〜午後5時(土、日、祝休日、年末年始を除く))。

この記事の出典

確認日はいずれも2026年9月22日です。制度・サービス・製品の内容は変わることがあります。利用する前に、各ページで最新の内容をご確認ください。

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